『どうする家康』第38話(唐入り)の感想

 

 

『どうする家康』第38話(唐入り)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。物語も終盤に差し掛かり安定感が出てきましたね。極端につまらない回が減ってきた気がします。この先の展開はあまりにも有名で大きく脚色できないため、見ていて安心感がある気がします。安定感、安心感があるのはいいのですけど、裏を返せばサプライズが少ないということかもしれませんね。

 

さて今回の感想ですが、良かった点は1つあります。それは太閤・秀吉の下で頑張る中間管理職・家康の奮闘を描いた作品として見応えがあった点です。時代は変わっても中間管理職は大変なんですね。上からの無言の圧力と下からの突き上げの板挟みで疲弊する。上司が聡明で有能ならいいのですが、現実世界ではそんなことはありえません。家康と三成に同情してしまいました。

ストーリーラインとしては、題名のとおり「唐入り」、つまり朝鮮出兵を軸に秀吉、家康、三成、茶々が絡んできて、それぞれの思惑が交錯するシリアスな展開だったと思います。その中でも家康は、秀吉の唐入りを切腹覚悟で止めるなど真面目に仕事をしている印象でした。前田利家は秀吉のお気に入りなのかもしれませんが、典型的なイエスマン太鼓持ちタイプに描かれていたので、その対比で家康の真面目さが際立っていましたね。

 

一方で良くなかった点も1つあります。それは戦の状況説明が上手くない点です。登場する国は、朝鮮、朝鮮を支援する明、日本の3つの国だと思うのですが、その辺りの状況説明がなかったので戦況が分かりづらかったです。

史実によると朝鮮は和睦をしたくなかったようなので、明が単独で日本と和睦の話を進めたようです。ただ、その和睦が上手く行かず第二次朝鮮出兵につながるのですが、それは次回の話になりそうですね。

 

最後に学びがあった点ですが、朝鮮出兵について少し考えてみたいと思います。豊臣家の崩壊を早めた愚策だと思うのですが、なぜ天下統一後に朝鮮半島に出兵をする必要があったのでしょうか。

明確な理由は分かっていないようなのですが、小田原攻めの論功で武将に与える領地が足りず不満を持つ武将が出ていたため、新しい領地を求めて外国に目を向けたという説や天下統一後も血気盛んな武将が多く、武将の活躍の場を作り出すために朝鮮出兵を決断したという説もあるようです。

近年の研究では、秀吉の本当の狙いは朝鮮ではなく明であり、明を征服し、海外貿易の拠点としたいという思惑があったようです。今回の物語では、この辺りの説明は全く無かったので、少しでもいいので経緯などを盛り込んで欲しかったですね。

朝鮮との戦では、日本軍は連戦連勝で全く無謀な戦いという訳ではなく、上手くいっていた部分もあったようです。が、日本軍が北へ進軍するに連れて補給の問題が出てきたため、武力で劣勢に立ったというより、補給の問題で和睦をせざる得なかったようです。外国で戦ったことのない武将たちは補給、つまり兵站計画を軽視していたのかもしれません。第二次世界大戦の日本軍も戦線を拡大しすぎて補給の問題に直面したので、歴史に学んでいなかったのかもしれません。温故知新という言葉は大事ですね。