『豊臣兄弟!』第30回(清須会議)の感想

 

 

『豊臣兄弟!』第30回(清須会議)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、清須会議の前日譚を丁寧に描いていたことでしょうか。時代は変わってもやっていることは同じというか、会議の前の根回しはいつの時代も必要なんですね(笑)

秀吉の策士ぶりが非常に印象的で、本気で天下一統を狙っている感じが伝わってきました。織田家の後継者が嫡流の三法師であることを利用して、信雄か信孝の2択ではなく、織田家重臣で政治を執り行う提案をする辺り、切れ味が鋭いですよね。

8月2日は放送がなかったので、番組冒頭に現在の状況を説明してくれたのも分かりやすくて好感が持てました。

 

 

一方で良くなかった点は、敢えて挙げるとすれば、秀吉が良い人すぎるということでしょうか。柴田勝家に市との縁組を勧めたり、まあ、そういう説もあるようですけど、毛利攻めの時も思いましたが、出来るだけ残虐性を描かない方向で脚色されている印象を受けますね。

歴史上の清須会議はもっとバチバチでドロドロしていた可能性の方が高いと私は思っているのですけど、大河ドラマということでマイルドにしているのでしょう。

あとは、清須会議の前と後でどのように変化したのかっていう部分が少し分かり難い感じがしました。織田家では柴田勝家が筆頭家老として強い権力を持っていたのが、この会議を経て秀吉が領地を拡大し、加えて政治的な優位性を確立したという流れをもっと明確にしても良かった気がしました。

 

 

最後に学びがあった点ですが、秀吉が柴田勝家に市との縁組を勧めていたことについて少し考えてみたいと思います。

この点については諸説あるようで、織田信孝による仲介という説や今回のように秀吉による仲介という説もあるようですね。

いずれにしても政略結婚なのですけど、私としては織田家の政治的な主導権を握ろうとする秀吉に対抗する目的で、織田信孝の仲介で両者の縁組が成立したという流れが自然な気がします。

戦国時代とはいえ、市の気持ちを考えると何とも言えないものがありますね。三法師を後継者とする体制で、政治的な勢力のバランスを取る目的で縁組を受け入れ、理想としては三法師が元服するまで何も起きないことを望んでいたとは思いますが、秀吉の野心が想像以上だったということでしょうか。

 

『豊臣兄弟!』第29回(天下への道)の感想




『豊臣兄弟!』第29回(天下への道)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は何と言っても秀吉と光秀が対話をする場面ではないでしょうか。

物語の前半は足並みの揃わない織田家の家臣たち。そして山崎の戦いに流れ込むのですが、秀吉が敗走する光秀を捉え、茶室で茶を振る舞うという緊張感のある場面でした。

私が注目したいのは光秀の配慮ですね。謀反について織田信澄が光秀をそそのかした面もあったのですが、その事実には触れず、光秀の単独犯である旨を秀吉に伝えていました。この辺り、光秀の矜持というか、謀反の責任を全て自分が負って散っていくという美学を感じましたね。

あとは、秀吉が光秀を始末したあとで「天下を取る」決意を固めた表情が印象に残りました。第29回のテーマとして、山崎の戦いも重要なのですけど、それ以上に秀吉が天下を取る決意を固める瞬間が大事というか、光秀との対話を通して自分の現在地を確認した印象を受けました。

 

 

一方で良くなかった点は、敢えて挙げるとすれば合戦シーンがいまいちだったことでしょうか。『どうする家康』の頃から感じていることなのですけど、迫力が足りないというか、淡白な印象を感じてしまいました。山崎の戦いは今後の天下の行く末を決める重要な戦いなのですから、もう少し気合を入れて合戦シーンを撮影して欲しいと思いました。

 

 

最後に学びがあった点ですが、光秀の最後について史実ではどうだったのかを確認したいと思います。山崎の戦いの後、敗走したものの、落ち武者狩りに遭い致命傷を負ったため自害したようですね。農民が光秀の首を秀吉に届けたようですが、最終的には京都でさらし首となり、悲劇的な最後と言えるのではないでしょうか。

本能寺の変から11日後の出来事だったようですけど、明智光秀ほどの人物ならもう少し上手く立ち回って天下一統に肉薄できた気もします。敗因としては、細川氏、筒井氏の助力を得られなかったこと、秀吉側の圧倒的な兵力数と言ったところでしょうか。

 

 

『豊臣兄弟!』第28回(急げ!秀吉)の感想

 

 

『豊臣兄弟!』第28回(急げ!秀吉)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、事件後の混乱の様子を丁寧に描いていた点でしょうか。

本能寺の変までのあらすじは何となく知っていたのですけど、事件後の様子というのは詳しく知らなかったので興味深く見ることができました。

各俳優の怒りの演技というか、信長様を失ったことに対する怒りと悲しみを爆発させている様子は惹きつけられるものがありました。

NHKは第27回がピークのような宣伝の仕方をしていたのですけど、第27回と第28回はセットというか、対になっているというか、第28回も予想以上に見応えがあり楽しめましたね。

第28回では秀長が本領を発揮しており、実務能力の高さを見せつけていました。兄である秀吉が京都に戻ってくるまでの算段を立て、優先順位を整理し、各方面に指示を飛ばしていましたけど、主人公として申し分ない活躍だったのではないでしょうか。

 

 

一方で良くなかった点は、今回もなし、としたいと思います。特に後半の細川藤孝に関するストーリーラインは面白かったですね。細川氏は上司である明智光秀の再三の援軍要請を断って出家するという、光秀にとっては大誤算というか、世の中は思い通りにはいかないものですね(笑)

 

 

最後に学びがあった点ですが、御首級(みしるし)という言葉が出てきたので、そのことについて少し考えてみたいと思います。

御首級とは討ち取った武将の首のことです。御首級が見つからないと織田家の家臣たちも本当に光秀に従っていいのか判断がつきませんから、光秀は何としても御首級(信長の首)を手に入れたかったのでしょう。

もし光秀が信長の御首級を手に入れていたらどうなっていたのでしょうか。織田家の家臣たちを迅速に服従させ、朝廷からも天下人の後継者として認められ、秀吉が備中から京都へ戻ってきたとしても秀吉側を逆賊として成敗できた可能性がある気がします。

そう考えると信長様が自らの首を光秀に渡さなかったのは好判断と言えますね。

 

 

『豊臣兄弟!』第27回(本能寺の変)の感想

 

 

『豊臣兄弟!』第27回(本能寺の変)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、『豊臣兄弟!』の文脈を踏まえた本能寺の変ということで、脚本や演出が素晴らしかったと思いました。全体的な物語のテーマとして兄弟や兄妹の絆があり、今回の物語の最後でも弟が兄を守るという救いのある場面が描かれていたので、その辺りは『豊臣兄弟!』ならではの演出だと感じました。

個人的には炎に包まれる本能寺の中で近習・森乱と信長様とのやりとりが痺れました。信長様の「脇差をかせ。(数秒の沈黙)たのむ。」というセリフと涙を流しながら脇差を渡す森乱という構図で私は昇天してしまいました(笑)

恥ずかしながら小栗旬さんという俳優をあまりよく知らなかったのですけど、今回の大河ドラマをずっと見てきてその存在感と演技力に圧倒されたというか、こんなにすごい俳優が日本にいるのかと度肝を抜かれてしまいました。

 

 

一方で良くなかった点は、今回はなし、としたいと思います。ただ、今後の懸念点というか、これから第27回を超える内容を放送できるのかという心配はありますね。それほど素晴らしい回だっと思いました。

 

 

最後に学びがあった点ですが、本能寺の変について少し考えてみたいと思います。まず、なぜ少人数で本能寺に宿泊していたのかが気になります。

利便性などを考えて少人数での宿泊はそれほど異例なことではなかったようですね。織田家筆頭家老の明智光秀が京都の警護担当ということで、本能寺にそれほど護衛を配置しておく理由はなかったのかもしれません。
武田氏を滅ぼして東の平定に目処がたったことで、残りは西の毛利ということで気が緩んでいた可能性もありますけど、まあ、光秀が裏切るのは想定外だったということでしょうか。

あとは、もし信長様が本能寺の変を生き延びていたらどうなったのかが気になります。順当にいけば西の毛利も降伏させ、天下一統を成していた可能性が高いと思われます。そうすると徳川幕府ではなく織田幕府ということになり、秀吉も良き家臣ということで一生を終えていたことになりますね。
信長様は考え方が革新的ですから特に経済や外交において、経済は楽市楽座に代表される重商主義を推進し、外交は積極的な南蛮貿易で欧州の兵器や技術などを取り入れたのではないでしょうか。ただ、急速なグローバル化は島国の日本にとってリスクもあるはずで、外交の失敗による植民地化というシナリオも考えられますね。

 

 

『豊臣兄弟!』第26回(信長を笑わせろ!)の感想




『豊臣兄弟!』第26回(信長を笑わせろ!)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、物語の緩急のつけ方が上手かったことでしょうか。

第27回が本能寺の変なので、そこに向けて第26回は緩めた感じでしたね。

もちろん第26回の物語の中にも緩急があって、前半は信長様が織田信澄の処分に悩んだり、羽柴家からの接待を受けるために伏見城へ行き、接待を受けるという流れで、後半は接待の中で和やかな空気が流れるも秀吉が信長様の逆鱗に触れてしまい信長様の前蹴りを食らうという怒涛の展開。

からの信長様と秀吉の飲み比べというよく訳のわからない展開でした(笑)物語の最後では信長様と秀吉が一対一で語り合う場面もあり、滅多に褒めない信長様が秀吉のことを褒めたり、心の内を明かしたり、感動的な場面だったと思いました。

 

 

一方で良くなかった点は、うーん、これを言うと身も蓋も無いのですけど、第26回は放送しなくても支障なかったのではないでしょうか。

つまり、豊臣兄弟と信長様を絡ませるための第26回という位置づけで、視聴者としては少し冗長に感じる部分がありました。

『豊臣兄弟!』の脚本を見ていて感じることは、非常に分かりやすいし理解もしやすいのだけど、その分回りくどく感じたり、冗長に感じることが多く、私の感覚と合わないと思うことが多いです。

もちろん、物語は面白いですし、毎週楽しませてもらっていますが、脚本や演出に対する違和感というか、回りくどさや過剰演出については何とかして欲しいと思っています。が、これが脚本家の個性なんですよね(笑)

 

 

最後に学びがあった点ですが、織田信澄について少し考えてみたいと思います。明智光秀の娘と結婚したことで光秀と運命共同体のようになっていますが、信澄が黒幕のような展開になっていますね。

史実では本能寺の変の真相は分かっていない部分もあるようですけど、『豊臣兄弟!』では明智光秀の単独犯ではなく、信澄が裏で糸を引いている構図になりそうです。

まあ、信長様が短気で苛烈な性格をしていますから、信長様から度重なる叱責や無理難題を押し付けられている光秀は相当ストレスを貯めていると考えられます。そこに信澄が目をつけて最後の一押しをするという感じでしょうか。

ただ、こういう諸説ある事件を映像化する場合、フィクションとノンフィクションの境目を丁寧に説明してほしいですね。物語の中で説明をするのは無理があるので、終了後に5分くらい時間をとって現在の有力説と今回の大河ドラマで脚色したフィクションを切り分けてほしい気がしています。

 

『豊臣兄弟!』第25回(変事の予兆)の感想

 

『豊臣兄弟!』第25回(変事の予兆)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、本能寺の変への序章ということで非常に見応えがありました。

前半は安土城完成の宴が中心で、長曾我部元親が登場して信長様に拝謁したり、宴の余興ということで相撲大会が開催されていましたね。この相撲大会が新しいパターンというか、恐怖の粛清相撲大会と化すシーンには痺れてしまいました(笑)小栗旬さん演じる信長様は存在感が違いますね。

後半は秀吉と秀長が粛清対象になった家臣たちの事情を調べるパートでした。秀長の義理の父・ 安藤守就にも武田と通じているとの疑いがあり、実は守就の息子が信長様への不満から勝手にやったことを自白していました。

家臣たちの間から不満が噴出しいている不穏な空気、そして信長様が重用している明智光秀もどうやら不満を溜め込んでいる様子。これはもう事件が起きる気配しかしませんね。後半では秀長の妻・慶と安藤守就との別れのシーンもあり、見どころの一つだったと思います。

 

 

一方で良くなかった点は、今回はなし、としたいと思います。本能寺の変までの不穏な空気感を丁寧に描こうとしていて好感がもてました。ド迫力の信長様がもうすぐ見れなくなると思うと非常に悲しいものがありますね。

 

 

最後に学びがあった点ですが、今回の物語で新しく登場した長曾我部元親について少し考えてみたいと思います。

史実から考えても今後の重要人物になることは間違いはないですが、女物の装束をまとっていた点が少し気になりました。NHKも時流を読もうと必死というか、LGBTとかジェンダーレス男子のような現代的なテーマを大河ドラマにぶっこんでくるんですね(笑)

ただ、土佐国の悲願は四国統一という野望を掲げているあたり、外見とは全く違う真の強さがありそうです。史実においても一代で土佐を統一し、四国をほぼ統一しかけたという点から戦国時代における素晴らしい武将と言えますね。

 

『豊臣兄弟!』第24回(軍師官兵衛!)の感想

 

 

『豊臣兄弟!』第24回(軍師官兵衛!)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、播磨平定最終章ということで非常に密度の濃い物語だったことでしょうか。前半は荒木村重の心の内側や動揺を丁寧に描いていたように感じました。

今回の大河ドラマでトータス松本さんの演技を初めて見たのですけど、武将の風格がありますし、演技に味があって良いですね。

後半は別所氏が籠城している三木城攻めのパートでした。復帰した黒田官兵衛が織田信忠を説得し、別所氏を力で制圧せず、別所長治が切腹することで城兵を助けることで落ち着きました。荒木村重が籠城していた有岡城とは対照的な結末になりましたね。

 

 

一方で良くなかった点は、今回はなし、としたいと思います。少し詰め込みすぎな気もしましたが重厚な物語で見応えがありました。タイトルが「軍師官兵衛!」ということでしたけど、内容的には「播磨平定!」のような気がしましたね。本能寺の変まであと2年、ということで信長様の最後をどのように描くのか非常に興味があります。

 

 

最後に学びがあった点ですが、改めて有岡城と三木城の違いについて考えてみたいと思います。

有岡城は城主である荒木村重が逃亡し、親族や家臣が見せしめに殺された一方で、三木城では別所長治が自刃することで家臣や領民の命を救いました。

物語では細かく描かれていませんでしたが、別所長治一人が切腹したわけではなく、別所氏の一族全員が命を断ち、一族の滅亡と引き換えに家臣や領民の命を救うという壮絶な出来事だったようです。

反旗を翻したものは徹底的に排除するという厳格な姿勢は恐ろしいものがありますね。

一族を滅亡させる必要まであったのかという疑問もありますし、もう少し寛大な措置をとってもよかった気がします。まあ、戦国時代なので反乱分子の芽は摘んでおくということなのでしょうけど。

荒木村重を非難し、別所長治を称賛することは容易いですが、いざ自分がその立場になった場合、別所長治のように振る舞えるかというと(自分も含めて)多くの人はそうではないと思います。自分一人の命ではなく一族全員の命を差し出すわけですからね。

非常に難しい決断だったと思います。最後に長治の辞世の句を書いて終わりにしたいと思います。

今はただ うらみもあらじ 諸人の いのちにかはる 我身とおもへば