『どうする家康』第29話(伊賀を越えろ!)の感想

 

 

『どうする家康』第29話(伊賀を越えろ!)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

まず良かった点は1つあります。今回は個人的にはいまいちな回でしたが、その中でも良かった点を挙げるとすれば、本多正信の再登場を挙げたいと思います。伊賀越えの最中、家康が捉えられ窮地に陥った場面で、まさかの再登場。伊賀の軍師として雇われていましたが、持ち前の機転を利かせ家康の危機を救いました。本多正信役の松山ケンイチさんの演技力は相変わらず素晴らしかったですし、このタイミングで再登場させる演出もサプライズ感があってよかったです。本多正信は、胡散臭く、常識外れな発想をする人物ですが、なぜか憎めないんですよね。

 

一方で良くなかった点は3つあります。1つ目は、物語のメリハリがない、中途半端な回だったことです。前回が本能寺の変という濃い回だったので、今回は緩急で言う「緩」に振り切っても良かったのではないかと思いました。コメディータッチの要素を盛り込みつつ、一方で伊賀越えという家康の3大危機を描くのは難しかったのかもしれませんが、結局、どっちつかずの展開になったのではないでしょうか。

2つ目は、家康の3大危機の一つである伊賀越えは、家臣団の活躍のチャンスだったはずなのにそれを活かせていないことです。特に服部半蔵とその仲間にとっては活躍すべき場面だったはずですが、物語上それほど見せ場をつくれず、家康最大の窮地には本多正信に全てを持っていかれる始末。見ている側としてはフラストレーションが溜まる展開でした。

3つ目は、伊賀越えという家康の困難な危機に対して、緊張感が感じられなかったことです。例えば、大怪我を負う、仲間が一人一人減っていくなどのシリアスな演出が考えられると思いますが、今回のようなお腹が空いて困っていますレベルの演出だと、緊張感が伝わってきませんでした。本当に危機であることを描くためには、もう少し工夫できる部分があったのではないでしょうか。

 

最後に学びがあった点ですが、本多正信の人生について考えてみたいと思います。正信の生きていた時代を考えると、放浪して主君をころころ変えるのは忠義という点から歓迎されない生き方のように思います。そのような異端の生き方をしながら、徳川家康に気に入られ、最終的には徳川四天王と呼ばれる人生には非常に興味がありますね。

家康から重用されるということは、何らかの理由があるはずですが、それが軍師としての能力なのか、奇抜な発想をするアイデア力なのか、またはそれら以外の何らかの能力なのか、気になります。今後の本多正信の活躍に期待したいと思います。