『どうする家康』第31話(史上最大の決戦)の感想

 

 

『どうする家康』第31話(史上最大の決戦)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

まず良かった点は1つあります。今回は全体として小牧・長久手の戦いまでの前日談を描いていましたね。その中でも家康が家臣団と向き合い、助言をもらったり、腹を割って話をする場面に好感が持てました。というか、第31話までに家臣団のメンバーを個別に掘り下げて、家康との絆をもっと描いてほしかったですね。個人的には、石川数正に焦点が当てられた点が気になりました。例の出奔が近いということでしょうか。秀吉から家臣に迎えたいと言われたり、石川数正の妻が登場したり、数正の居宅にてセリフ少なめの情感たっぷりのシーンは込み上げてくるものがありました。

 

一方で良くなかった点も1つあります。それは相変わらず戦のシーンを描くのが下手ということです。軍師である本多正信の策が上手く機能しないことが判明した時点で、それがどの程度大きなダメージなのか、次の争点は何なのか、全体的な状況が視聴者に分かり難いと感じました。加えて、織田信雄を裏切り、秀吉側に付く池田恒興を誰が迎え撃つのかという件では、結局、酒井忠次が出陣しましたが、出陣する者を決めるまでのやり取りは既視感が強すぎてワンパターンな演出に見えてしまいました。戦のシーンはテンポ感や緊迫感が大事になるので、次回の脚本と演出に期待したいと思います。

 

最後に学びがあった点ですが、小牧・長久手の戦いについて少し考えてみたいと思います。徳川家康の最大の戦いは関ケ原の戦いだと思っていましたが、今回のタイトルである「史上最大の決戦」が示すとおり、実は小牧・長久手の戦いが家康の最大の試練だったのかもしれません。

秀吉に戦いを挑むにあたり、物語では家臣団に助言を求めていましたが、秀吉軍約10万人に挑むのは相当な覚悟が必要だったと思われます。家康側は約3万人ですから戦力差は明らかですし、足りない部分は軍師による戦略・戦術と井伊直政率いる屈強な旧武田軍で何とかするという算段だったのでしょうか。いずれにしても劣勢で不利な状況であることには変わりはないので、今回の大河ドラマでどのように描いていくのか次回以降が楽しみです。