『光る君へ』第十二話(思いの果て)の感想

 


『光る君へ』第十二話(思いの果て)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

まず良かった点は1つあります。それは主人公まひろにとって苦しい展開が続く中でもユーモアの要素があった点です。

今回の物語は縁談というテーマで進んでいましたが、まひろの縁談相手として藤原実資が取り上げられていて笑いをこらえるのに必死でした。赤痢にかかって苦しんでいる描写も滑稽に演じられていましたね。さすがロバート秋山さんです。

そして、縁談という文脈で言うと黒木華さん演じる倫子と道長との縁談も進んでおり、娘に泣きつかれる左大臣役・益岡徹さんの演技も面白かったです。どうやら倫子と道長が結ばれるのは既定路線のようで、そうなると道長が過去にまひろと恋仲であったことが倫子に分かってしまうことになりそうです。まひろにとって茨の道が続きますね。

 

 

一方で良くなかった点も1つあります。それは最近の物語の展開がまひろにとって辛すぎるのではないか、ということです。

物語の終盤でまひろが道長に対して正妻ではなく妾でもよいと伝えようとした場面がありましたけど、道長から倫子との縁談が進んでいるというまさかの告白。まひろは本心を隠してうわべだけの祝福をしましたが、もう少し主人公にとって良いニュースがあっても良いのではないでしょうか。見ていて非常に辛いですね。明るい未来が見えません。

 

 

最後に学びがあった点ですが、現代人にとって珍しい風習である庚申の夜(こうしんのよる)について少し考えてみたいと思います。

庚申(こうしん)は、(かのえさる)とも読むことができ、十干(じっかん)の庚(かのえ)と十二支の申(さる)を組み合わせた言葉です。十干十二支は60種類あるので、カレンダーに当てはめると60日で1周します。つまり、昔の人は60日に一度、徹夜をしていたことになりますね。

物語のように複数人で集まり酒盛りをしながら積もる話をするなら、それはそれで面白そうな風習であると感じました。清少納言も『枕草子』に庚申の日の出来事を書いているので、当時の人たちにとっては普通の日常というか、そういう風習を通じて当時の人達を身近に感じることができるような気がします。