『光る君へ』第六話(二人の才女)の感想

 

 

 


『光る君へ』第六話(二人の才女)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

まず良かった点ですが1つあります。それは政治の世界に積極的に関与し始めた道長の変化です。自らの一族の業の深さと責任の重さを自覚し始めたようで、これは単なる変化ではなく成長と言ってもいいのかもしれません。長兄の道隆に右大臣の勢力を排除しようとする動きを伝え、物語において長兄の見せ場を作るなど、表立って活躍するということではありませんが、権力争いに絡んできており今後の展開が楽しみです。

 

一方で良くなかった点ですが、強いて挙げるとすれば前回が激しい回だったので少し物足りなさを感じました。第五回(告白)が緩急で言う所の「急」だったので、今回は「緩」ということだったのでしょう。次の山場に向けた仕込みとして、ファーストサマーウイカさんが演じるききょう(後の清少納言)が登場したり、謎の男・直秀が暗躍(?)していたり、道長の姉の藤原詮子左大臣と手を組んでいたり、気になる要素が多いですね。

加えて、なぜ物足りないのかを考えた時に兼家役の段田安則さんと藤原実質役のロバート秋山さんの出番が少ないことでパンチ力不足だったのかもしれません。特に平安貴族に全く見えない藤原実質にはなるべく多く登場して欲しいですね。

 

最後に学びがあった点については、道長がまひろに送った手紙の内容について少し考えてみたいと思います。「ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 恋しき人の 見まくほしさに」という歌ですが、これは伊勢物語本歌取りのようですね。伊勢物語の方は「ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 大宮人の 見まくほしさに」という歌で、「大宮人の」を「恋しき人の」に変えることで愛の告白をする歌に変えたということでしょうか。ちなみに「大宮人」とは都会に住んでいる人のことのようです。

長兄の道隆が主催した漢詩の会では、道長が唐の詩人・白楽天白居易)の漢詩を引用していましたが、前回の大河ドラマ『どうする家康』とは趣が180度違って教養が試される上質なドラマになっている印象です。はっきり言ってあまりついて行けていません(笑)