『どうする家康』第45話(二人のプリンス)の感想

 

 

 

『どうする家康』第45話(二人のプリンス)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

まず良かった点は3つあります。

1つ目は、豊臣秀頼徳川家康の政治的な駆け引きの場面です。史実では二条城会見と呼ばれる出来事ですが、家康は豊臣家を公家として扱い、上座に座らせようとします。しかし、秀頼も機転を利かせて家康を上座に座らせ、豊臣家は武家として徳川に従う姿勢を示しました。秀頼役の作間龍斗さんの演技を初めて見ましたけど、アイドルとは思えない堂々とした演技でした。主役の松潤さんを喰ってしまうのではないかと思わせる雰囲気もありましたし、最終盤で出てくる俳優にしては少しもったいない気もしました。

良かった点の2つ目は、今川氏真と家康との対談です。まさかここで氏真が再登場するとは思わなかったので嬉しいサプライズでした。家康が本音を吐露するシーンがありましたが、ここで苦悩することで死ぬまで戦の道を歩く覚悟ができたのでしょう。そして、戦なき世は息子の秀忠に任せ、自分は最後の大仕事をする決心をしたのだと思います。

良かった点の3つ目は、家康が秀忠を諭すシーンです。秀忠は豊臣秀頼に対する劣等感をもっており、家康の死後を心配していました。そこで家康は秀忠の長所を諭し、自分が実現できなかった王道による治世を秀忠に託します。家康の晩年をかなり丁寧に描いているので好感が持てました。関ヶ原以後の家康をあまり知らなかったので、史実とは少し違うとは思いますが、勉強になる部分が多いです。

 

一方で良くなかった点は、なしとしたいと思います。今回は二条城会見から方広寺鐘銘事件までを丁寧に描いていましたし、家康が最後の大仕事に向かうまでの心理描写も素晴らしいものがありました。大阪の陣まで一気に進むと思っていましたが、こういうじっくりとした展開もアリではないかと思いました。

 

最後に学びがあった点ですが、二条城会見について少し考えてみたいと思います。この会見の狙いは、豊臣が徳川に臣従し、天下が徳川のものであることを世間に知らしめることであったと思います。もっとも『どうする家康』では、本多正信が豊臣を公家に祭り上げ、武家としての力を削ぐことを提案していましたけど、これは史実ではどうなんでしょうか。

徳川としては、江戸幕府の体制を盤石のものにするため、二条城会見以外にも諸大名に対して「慶長十六年の三カ条誓詞」を誓わせるなど、豊臣以外の諸大名への締め付けも慎重に進めており、大阪の陣になる頃には豊臣は孤立している状態でした。

この辺りの用意周到さは、さすが家康と言ったところでしょうか。