『光る君へ』第四十七話(哀しくとも)の感想

 

 

『光る君へ』第四十七話(哀しくとも)を視聴したので感想を書きたいと思います。今回も良かった点、良くなかった点、学びがあった点について書いていきます。

 

 

まず良かった点は、脚本家が脇役にも見せ場を用意していた点でしょうか。乙丸、実資、公任、賢子、そして真のラスボスである倫子。乙丸は、今までほとんどセリフがなかったので、その反動で今回感情を爆発させたシーンが印象的でした。実資も実は道長と仲が良く、陣定(じんのさだめ)では誰よりもバランス感覚の良い発言をしていたと思います。

公任については、道長の為を思って隆家に報奨を出さないことを意見した訳ですが、道長はそこまで隆家を敵視しておらず公任と言い争いになっていました。これまでの知的で冷静な公任とは違った一面を見ることができて新鮮な感じがしましたね。

賢子については、「光る女君」になりたいという発言が気になりました。母親の書いた源氏物語を読んで、政治の頂点に立っても、意中の人を手に入れても幸せはひと時で終わってしまう。ならば、自分の好き勝手に生きてみよう。人生、どう生きても一局ということで、まひろも賢子の発言を聞いて「好きにおやりなさい」と応援をしていました。

 

 

一方で良くなかった点ですが、主人公である藤式部(まひろ)をいじめすぎな点でしょうか。物語の冒頭で周明を失い、慟哭するシーンがありましたが、それに加え物語の終盤で倫子から「いつからなの?」と問い詰められるのは、さすがに可愛そうでしたね。どこまでも周囲に翻弄されるイメージが拭えませんが、最終的にどのように着地するのでしょうか。第48話が気になります。

 

 

最後に学びがあった点ですが、改めて主人公の藤式部(まひろ)について少し考えてみたいと思います。第一話で上級貴族の道兼に母親を惨殺され、最終回間近の第47話で異国の賊に周明を殺され、途中で藤式部(まひろ)が好意を抱いていた謎の男・直秀も殺されてしまう訳ですが、うーん、ちょっとやり過ぎな感じもしますね。主人公が不憫です。

ただ、それとは別に周囲に翻弄され続ける主人公に煮えきらないものを感じている部分もあり、例えば、道兼に母親を殺されたというイベントを発生させるなら、母親の復讐を胸に生きている主人公を描くとか、物語上の一本通った筋があれば、こんなモヤモヤはなかった気がします。

越前編も頼りない父・為時に変わって、バリキャリOLのように藤式部(まひろ)が国史の仕事をこなすとか、振り切った演出が欲しかったですけど、とうとう最後の最後まで主人公感が希薄なまま来てしまった印象です。少し残念ですね。